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2010年10月 4日 (月)

Everest Challenge: Day1

(準備編はココ)

第一日目.

朝5時過ぎに起床.妻がモーテルで作ってくれたオニギリとバナナを食べて外へ.

気温はおそらく10℃ほど.寒いが,昼間は35℃以上に達する予報なので,レッグウォーマーは無し.アームウォーマーと薄いウィンドブレーカーだけを持って出発.

自転車を車に積み,Bishopのモーテルから10分ほどのMillpond Park(elev 4425ft, 1348m)へ到着したのは6時.私が走るPublicカテゴリのスタートまで20分しかない.

自転車を組んでスタート地点へ.まだ夜明け前.ほぼ満月の月が快晴のEastern Sierraの空にぽっかりと浮かんでます.

1st day start

5 miuntes! の声.Publicの出走者がスタートラインに集合.思ったより人数は多い.後で知ったが,Public Menカテゴリは43名出走(Public Womenは5名).さて何人が生き残るのか.

6:20amちょうどにスタート.空気は冷たく,指切りグローブの指先の感覚が消えて行く..

最初の11mileほどはほぼ平坦.先を急ぎたいが,みんな抑え気味なのか,あまりスピードが伸びない.途中から一人が飛び出し,私が残りのグループを引く羽目になって,そのまま1つ目の登りに突入.

1st Climb: Rock Creek Rd

獲得標高5825ft(1775m), 22mile(35.4km), 頂上標高 10205ft(3110m)

ここから頂上までは,Death Ride前の練習で,妻と友人のYokoさんと登った事のあるコース.Paradiseと名のついた小さな住宅街を越え,Eastern Sierraの壮大な裾野の砂漠を走る素晴らしい道.

写真を撮ってる余裕はなかったので,しばらくはDeath Ride前に走った時の写真で..

IMG_4588

(Death Ride練習時の写真)

IMG_4593

(Death Ride練習時の写真)

「とにかく水を飲め」と言われていたので,最低1時間にボトル1本は空けるペースで飲み,ジェルも1時間1つのペースで流し込み.

スタートから約1h50m. ほぼ中間地点のTom's Place(標高7100ft)を越えて,Upper Rock Creek Rdへ.ここにあった最初のAid Stationは,走ったまま空のボトルを渡し,新しいボトルと交換してそのまま通過.

US395

(Death Ride練習時の写真)

標高10,000ft(3038m)を越え,頂上手前1マイルあたり,少し勾配が弱まるところになって,後輪が一定の間隔で"シャッ, シャッ"と音を立てている事に気付く.

どうせ落ち葉でも挟まってるんだろう,と思って,足の間から後輪を覗くと,後輪が波打ってます.しかもかなりグニャグニャと.

事態がつかめず,「クイックが緩んで車輪が斜めになったか?」

などと呑気な事を考えていたが,

「まさか,スポーク折れ?」

という最悪の事態の可能性がある事に気付く.

そういえば,Tom's Placeの先で「カンッ!」という金属音を聞いたのを思い出した... あの時はギアに何か引っかったんだとばかり思ってたが.

とりあえず頂上まで行ってから調べよう,と,そのままで走り切って,頂上のAid Station到着.9:30am(Cutoff: 11:15am).

慌ててバイクを降りて,後輪観察.

この日はMavicのキシリウムSLを履いてましたが,スプロケ側に1本だけある赤いスポークが,ハブ側の根本から綺麗に折れてます.うわぁ.

折れた前後のスポークを緩めて振れを取れればいいんですが,キシリウムSLのニップルは特殊で,ニップル回しが無い.そもそもそんな後輪で残り23,000ftの登りと,170mileを走りきれるのかどうかも分からない.

レストストップのボランティアに状況を説明.どこかのSAGカーに予備の後輪が無いか聞いてみたが「あるかどうかも分からない..」との事.そもそも連絡の取りようが無い山奥.下ってから探す事に.

下りで折れたスポークが引っかかると危ないので,ボランティアの方がスポークを曲げ,他のスポークにダクトテープで貼り付ける応急処置をしてくれた.

ブレーキリリースを全開にしても,まだブレーキシューに当たるので,ブレーキワイヤを緩めて完全オープンに.

「落ち着け,落ち着け」と自分に言い聞かせ,ジェルx2, バナナx2の補給を取って,ボトルを満タンに.トイレも済ませて,再出発.

ここから22mile, 後輪ブレーキ無しの急勾配の下り.怖いったらありゃしない.もしも前輪のワイヤが飛んだら... なんて考えると恐ろしい.タイムロスもしたので,急ぎたいけど,でも急げない..

「後輪の予備なんてあるんだろうか?」

「それ以前に下り切るまで持つんだろうか?」

「これでDNFか?」

いろんな心配ばかりがよぎり,弱気になってくる.

長い長い,直線の下り.40mphくらい出てる中,足の間から覗くと,後輪が狂ったように暴れてます.

それを見ていると,ふと冷静に.

スタート前は「初日を完走出来れば十分」と思っていたはずの自分が,本当はいかに完走を望んでいたのかを思い知る.

そして急に「絶対に,完走してやる.絶対に」と妙な闘志全開モードに.

Tom's Placeでは,レストストップのボランティア,チームサポートのギャラリーが居る度に止まり,事情を説明し,後輪の予備があれば貸して欲しいとお願い.でもどこにも後輪の予備なんて無い.

何人にも聞き回っていると,たまたま昨晩のRider's Meetingで見たRace Director氏(Stevenさん)に遭遇.「明日のスタートになら,ホイールを用意して持って行けるかも」という温かいお言葉.そのようにお願いして,「とりあえず今日はこのホイールでなんとか頑張ってみます」,と言って再スタート.

Paradiseへ下る途中,1ヶ所,短い登り区間があり,そこを登っていると,後輪から再び,"シャッ, シャッ"とイヤな音が.. ブレーキはもう全開のはずなのに.

停まって見ると,ブレーキシューには当たってないけど,なんとフレーム(シートスティ付け根)に微かに当たり始めてます.フレームに当たったタイヤのサイドウォールも少し削れてる.

このまま走り続ければ,フレームが削れてダメになるかも.それ以前に,本当にロックしてしまって動けなくなるか,最悪なら後輪タイヤのバーストか.

もはや「たかがメインカメラがやられただけだ!」(by アムロ)の境地(笑).

走れるところまで走るのみ.

さらにParadiseまで下って,平地をぶっ飛ばして走っていると,"Bishopまで車で戻って,自転車屋を見つけてホイールを買えないか?” と思いつた.路肩に自転車を止め,Bishopにいる妻に電話.

「えーっ!」と驚く妻に「Bishopの自転車屋に片っ端から電話して,ロードの後輪ホイールが無いか聞いて欲しい.シマノ10速で」とお願い.

そうこうするうち,今日の2つ目の登り.Pine Creek Rdの交差点に到着.沢山のチームサポートの車,テントが並んでます.

ここでも,片っ端から事情を話し,予備の後輪があれば貸して欲しいと聞き回ります..

2nd Climb: Rock Creek Rd

獲得標高3000ft(914m), 8mile(12.9km), 頂上標高 7225ft(2263m)

さっき頂上にいたボランティアの人が降りてきていて「まだ見つからないの?」と心配そう.10件以上聞き回り,「もう本当にダメかも」と思い始めた頃,再び先ほどのレースディレクター氏に遭遇.

「フレームに当たり始めていて,今日も走りきれない感じ」

というと,周りに予備ホイールが無いか聞き回って下さった.

そしてついに,ついに,「明日朝帰ってしまうので,今日だけなら貸せる」という方が見つかった!

この方.Dennisさん.神様です.

Dennis -- My hero. Lend me his rear wheel to replace my broken one

シマノ10速,しかもスプロケは私と同じ11-28Tの山岳仕様.DT Swissのリムを使った軽いホイール.予備じゃなくて,いつも走ってる良いホイールを貸して下さった.

返却の段取りを決め,死ぬほどお礼を言っていたら,「さっさとスタートしろ!レース中だ!」と喝を入れられた.これで,とりあえず今日は完走出来ます(自分がダメにならなければ).

少し走ってから,携帯の電波が届く間にと,妻に電話.状況を聞くと,Bishopの自転車屋は閉まってるか,ロードバイクは置いてない店ばかり.Mammoth Lake (30mileほど北)の自転車屋をいまから電話して探す,との事.

ホイールが見つかることを祈りつつ登坂.気温はグングン上がり,非常に暑かった事,えらく急な長い坂,という事しか覚えてません.

12:00ちょうどにPine Creek RdのSummit到着(Cutoff: 13:45)

下って,一旦スタート地点のMillpond Parkへ戻る途中,路肩に自転車を停め,再び妻に電話.Mammoth Lakeにホイールがあるという嬉しい報告.ただ,車がMillpond Parkにあるので,それをどうやってBishopに居る妻に渡すかが問題.

Millpondへ向かう道:

IMG_0819

時計を見れば,cutoffまで1時間半以上の余裕あり.Bishopまで行って妻を拾い,Millpond Parkへ戻って,妻に車を預け,自分は再スタートすればよい.30分ほどのロスで済むはず.

12:40pm, Millpond到着.自転車を車に一旦仕舞って, Bishopへ急行.

妻を拾い,Millpond Parkへ送ってもらう途中,Mammoth Lakeの自転車屋に何を買うか決めるために電話.Mavicしかないみたい.在庫を聞いてキシリウムエリートに即決.我ながら何という散財っぷり.横では妻が「これ,貸しだかんね!」と言ってます.

1:10pm. きっかり30分のロスで再スタート.これでアクシデントからは100%リカバー.後は自分が完走出来るかどうかだけ.

3rd Climb: South Lake

獲得標高5410ft(1649m), 20.4mile(32.8km), 頂上標高 9835ft(2998m)

再スタートすると暑い.ものすごく暑い.しかも砂漠なので空気はカラカラ.Millpondで満タンにしたボトル2本を空ける勢いで飲み続けます.

South Lakeへ向かう途中のButtermilk RdのAid Stationに到着.5600ft, 13:45 (cutoff 14:50). この先スピードは落ちるばかりなので,このcutoffとの差はちょっと不安.

ここで「ホイール購入完了.いまから帰る」のテキストが携帯に入る.妻に感謝.

South Lakeは6月に遊びに来て登ったことのある道.Hwy168がSouth Lake Rdに分岐するまでの間は,果てしなく先が見通せる,真っ直ぐの長い長い,厳しい登り.

路肩には,あまりの暑さにやられたライダーが死屍累々.チームカーのつくった影の中に寝そべってたり,ハンドルに突っ伏したまま動けなくなっていたり..いつ自分がああなってもおかしくない.

騙しだましやってきた足にも,いよいよ痙攣が.ちょっと変な姿勢を取った瞬間に両もものうち側,という,いまだかつて攣ったことの無い筋肉がクランプ.足を止めると立ちゴケなので,かろうじて回しつつ窮地を脱出.

ようやくSouth Lake Rdとの分岐に到達.あまりにヨロヨロ走ってたのか,コースマーシャルが背中を押してくれた(笑).その一押しが本当に嬉しかったりするくらいへばってます.

South Lake Rdに入って,少し勾配はマシになって,最後のAid Station,Bishop Lodge Aid Stationに到着.15:15(cutoff 17:00). 意外とスピードは出てたようでCutoffとの余裕も十分.ここで初日の完走を確信.

最後の1マイルほどは10%以上の連発.18%というトンデモナイ坂も越えて,16:04頃.ようやくゴール!(cutoff: 18:00).

頂上Aid Stationでは,明日に備え,仰向けになって足を上げた姿勢で10分間.足の乳酸・不廃物を流しておきます.

コースディレクター氏にも会えて,ホイールが確保出来た事を伝えます.また,Millpondに戻る必要はなく,このままBishopへ下っても良い事を確認.

1st day finish

その後,急いでBishopのモーテルに戻り,Dennisさんに会ってホイール返却.なんと,明日のホイールまで,友人に借りて用意して下さっていた事が判明.もう何とお礼を言っていいのやら.

その友人の方(Randyさん)にホイールを返却に行き,妻が買ってくれていたキシリエリートを装着.

思わぬメカトラブルで,すったもんだしましたが,取りあえず1日目を生き残り,2日目へ.

ホイールを貸して下さったDennisさん,その友人のRandyさん,レースディレクターのStevenさん,そして妻には本当に感謝です.Day2を出走する事はもちろん,完走しなければ..

走行距離: 122.1mile (196km)
平均速度: 12.8mph (20.6km/h)
心拍(avg/max): 160bpm/233bpm(?)
消費カロリー: 5872kcal
獲得標高: 13921ft(4243m)[Polar], 15548ft(4739m)[Garmin]

(Day2へ続く).

これが折れたスポーク

IMG_0870

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